コバルトウィングは4着!尽きかけた一口馬主への情熱を、大井競馬に降臨した天使のおかげで少しずつ回復中!
コバルトウィングは4着!尽きかけた一口馬主への情熱を、大井競馬に降臨した天使のおかげで少しずつ回復中!
年内難しいかと思っていたコバルトウィングが日曜日中山で出走した。
最終追いはもう一歩だったこと、相手も強そうだったことからも期待値はそこまで高くなかったが、そのことが今の自分にはちょうど良い塩梅だった。
◆ 尽きかけた情熱
11月は様々なことがあった。
モーソンピークには本当に入れ込んでいたのだが、デビュー戦を終え、ひとつ結果が出た。「慌てずにいこう。」と。
期待値と比較すると、物足りない結果ではあるが、心の準備していた分、スムーズに受け入れられている。
その前週にはプリモシーンとダイアトニックがG1で競演するというビッグイベントが開催された。結果は振るわなかったが、多幸感に包まれたレースだった。
さらにパロネラを筆頭とした16年産の不振、地方でもダメな現実、さらにその不振から世代を背負うべく、小生の期待を一身に集めていたパラダイスリーフの屈腱炎。。
このジェットコースターのような一口馬主ライフを受けて、年4-5頭の範囲内で、重賞で勝ち負けできるような馬に出資できる困難さを改めて感じたことからくる疲れ、モーソンピークに向き合いすぎた疲れ、プリモシーンとダイアトニックのマイルCSでの多幸感からの疲れ、など様々な疲れを感じ、エンドロールを迎えたような気がした。
プリモシーンとダイアトニック以上に走る馬に出会えなくても小生は楽しめるのだろうか?
答えは見つからず、1週間と少し、仕事もままならない日々を過ごした。
シルクの追加募集はさらっと見ただけで、だんまりを決め込んだ。正確には考察しようとしたのだが、できなかった。
受け付けられる精神状態では無かったのだ。
◆ 仕事をしていたはずなのに、気がついたら大井競馬場にいた そして出会った天使が教えてくれたこと
ある日、どうにもいたたまれなくなり、衝動的に職場を飛び出し、あてもなく彷徨っていた。するとどうだろう、気がついたら大井競馬場にいた。
そこには競馬を心から愛する歯のない面々と、競馬をそこそこにデート気分ではしゃぐサラリーマンがいた。
パドックをボンヤリと見ていると、歯の欠けた競馬を愛する紳士に唐突に話しかけられた。
「6番と9番いいね!でも体重増えてんな!休み明けだからな!」
うむ。たしかに悪くない。それにしても距離が近い。顔がすぐそこにある。凄く話したそうだったので、「大井は休み明けも結構きます?」と話を広げてみる。
話の流れにキチンと沿った内容で、真摯に教えを請うような初心者感を出しつつ、多少競馬を話せますよ感も適度にブレンドされた完璧な質問。この師匠と弟子感。こういうのお好きでしょ?まさに小生はコミュニケーション強者!
するとどうだろう。
「そんなのしらねぇよ!俺はそんなの見ないよ。自分で決めろい。」
との返答。おっと、この返答は小生の脚本にはない答えだ。実に面白い。ボンヤリと見ていたが真剣に見ましょう。30秒ほどパドックを確認する。
「13番が1番良く見えますね。どうですか?」
と回答。相手の土俵に完璧に乗ってやったぜ。
するとどうだろう。
「だーかーらー自分で決めろって言ってんだろ?お兄さんが決めるんだよ!」さらに「ふがふがふが、、、」となにやら話が続く。そして「8番がいいね!!」と問いかけてくる。
おっと、いよいよ脚本にないぞこれは。。実にチャレンジングだ。
確かに5番手くらいには良く見えた馬。「そうですね、確かにいいと思います。」と盤石の回答。ソツなく送りバント的な会話もできるのですよ???これは完璧だろうー!!
するとどうだろう。
「嘘つけー。俺がイイって言ったからだろー。マネするなよ。」と、ヒトを小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、そう言い放った。
思わずブン廻しそうになった。
恐らくこの紳士に悪気はないのだと思う。しかし、真剣に馬券と競馬に向き合おうとしていた小生にとって、これ以上トークを重ねると、運が吸い取られていくように感じた。そのため惜しみながらも明るくお引き取り願った。
その紳士はブツブツ言いながら他の人達に絡み続けていた。が、まともに話を返している人はいないように見えた。
レースはなんと13番が2着。1着も人気薄が入り馬複60ー70倍の配当。運良く1着馬も抑えており、拾うことが出来た。
次のレースのパドックに向かう途中、悔しそうな顔をした紳士と再会したので、「13来ましたね!当たりましたよ!」と伝えた。
「いちいちそんな報告いらねーよ」と苦虫を噛み潰したような顔で返された。ついに脚本に沿った返しを頂く。
しかし、これで終わらないのが紳士たる所。
5分後、パドックにいる小生に近づき「実は今のレース3連単取ったよ500円」と報告してくれた。
かわいい。と思った。もう嘘か真かは重要ではないと思った。素直にそうであって欲しい、もし嘘でも他人の当たり馬券を素直に喜ぶ人もいることを伝えたいと思った。
「40万じゃないですか!すごいですね!おめでとうございます!!やりましたね!!」と返した。キョトンとしていた。
お互い、何もなければ交わらなかった価値観の違う者同士が競馬というツールを通して出会い、そして、お互いの想定を超えた会話を繰り広げ、そして別れる。小生は人間としての幅が広がったし、紳士もそうであって欲しいと願った。
競馬は、素晴らしい。
踵を返し小生から離れていく紳士の背中に目をやると、薄っすらと羽が生えていた。競馬に悩む小生を救うべく現れた、天使だったのだ。
◆ コバルトウィングが競馬場で待っている
競馬場に降臨した天使のおかげで、鉄火場の緊張感と緩和を存分に味わい、競馬をのめり込んでいたことを少し思い出す。
ちょうど週末はコバルトウィングが出走する。期待値はソコソコ。勝つ可能性は甘く見て20パーセントといったところか。
勝負が期待できないわけでもなく、かといってイレコミすぎない期待感。
冒頭のちょうど良い塩梅での応援、と表現した背景である。
◆ パドック
そうだった、コバルトウィングの話だった。
パドックでは滑らかな歩様は引き続き目立つが腹回りはポッチャリとしていて、明らかに太く見える。それもそのはずの、プラス18キロ。馬体重見る前に太い?と素人目に思うのだから太いのだろう。
最大のライバルと見られているロンゴノットは万全に見える。
馬券はこの2頭からの3連単マルチで勝負!
この後本場入場を間近でみようと、ダッシュするが、そういえばダートは地下からだった。基本的なことを忘れていた。
◆ レース
スタートは出たが予想通り後方から。3コーナー手前から押し上げるが、前走のように押し上げられないのは、太め残りのせいか、相手が強くなったせいか。恐らくその両方だろう。
直線は上がり最速の脚で追い上げるも4着まで。
◆ いやー健闘したでしょ!
仕上げ途上でのこの走り。残念さはあるが、次に繋がるレースに見えた。
とにかく怪我さえなければ、次走も好勝負を期待できるのではないか?
大なり小なり、馬それぞれに希望がある限り、一口馬主はめちゃくちゃ楽しい。そんな基本的なことを再確認できたレースだった。
そして、大井の天使、ありがとうございました!また会いましょう!